(3)九谷焼独特の骨描き

九谷焼の伝統的な絵付では、呉須と呼ばれる黒褐色の釉薬で骨描き(絵文様の輪郭線)を描いた後、五彩で厚く盛り上げて彩色されます。その呉須は本窯で使われる染付用の藍青色の呉須と区別し、上絵呉須ともいわれます。(画像は「能美市九谷焼美術館HP」より複製)

この呉須が常に黒く鮮明であるため、その上に塗られたガラス質の五彩絵の具の透明感を引き出す効果があります。

この点、伊万里とは異なり、太くて強い呉須の線描が輪郭線のみならず、描かれる対象物にも余白の地文様にも使われます。そして、塗り潰した絵の具によっては、緑の絵の具であれば黒のままに、黄の絵の具であれば紫に、紫の絵の具であれば焦げ茶に見え、厚く盛られた透明感の強い絵の具と重なり、多くの色を感じさせます。このようにして九谷焼では絵の具と呉須で九谷焼独特の絵模様を見せてくれます。

「(1)九谷焼独特の絵付」へ

「(2)九谷焼独特の絵の具 九谷五彩」へ