明治九谷の作品解説 亀田山月 赤絵金彩人物花鳥図皿 十枚組

亀田山月は、絢爛豪華な平鉢、壺などの大作を制作した一方で、小皿であっても一枚一枚丁寧に絵付したといいます。この作品はハレの場や宴席などで平鉢と一緒に使われた取り皿として作られた十枚一組の揃い物です。

サイズ 径 約12 cm 高さ 約2.1 cm

(2枚目)

四つの小さな窓が割り取られ、その窓の中にはお伴を連れた人物、松の樹、赤い花をつけた木々、遠くの山などの日本画的な図案が細かに絵付され、加えて窓の外を“道開の朱赤”のような赤で埋めています。

画像の左が山月の作品で、右が同門の橋田 与三郎の「赤絵大黒恵比寿図皿」ですが、山月らは、師であり赤絵細描の名手であった斉田 道開(索引03)が生み出した佐野赤絵の朱赤をそれぞれの作品に受け継いでいます。二人は朱赤も含めた様々な釉薬を研究開発しました。

この小皿の成形は縁が少し立ち上がり幾分深くなっています。こうした小皿は“なます皿”と呼ばれ、“なます”(生魚と野菜を酢などで味付けした食べ物)などの副菜の取り皿として使われました。江戸時代にハレの場や宴席などで大平鉢と一緒に揃えた取り皿の名残りを思わせるもので、 十枚、二十枚といった組で商家、料亭などで揃えられたといいます。

裏銘は2枚が「九谷製/亀田画」と8枚「九谷製/亀多画」と書き入れられています。他に「大日本/九谷製/山月堂」「九谷/山月」「九谷/山月製」「九谷/綿野製/亀多画」などがあります。