如意頭文の形をした見込みには貴人が松の下で遠望するところが多彩な絵の具を使って描かれています。その周囲には手の込んだ雅な文様が描かれ、外側の面にも日本画を思わせる“竹に雀”と“牡丹の花”が描かれています。日本画を思わせる絵付ですが、濃淡、ぼかしの技法などを巧みに使った図案や文様となっています。
サイズ 幅約17.9cm 高さ約7.2cm
白い素地の上に多くの絵の具を使って絵や文様が描かれていて、鮮やかな色彩、ぼかしを使ったような奥行きのある表現です。何よりもこの作品の画題ともいえる“松”を中央に配置して、狩野派がよく描いた松の樹を連想させる図案です。
内側には優雅さの漂う文様も描かれています。折り返した短冊を幾重にも繋げていきなから一つの文様に見せるようにしています。これまでの山月の赤絵金彩になかった、明るい色調で描かれています。
また、外側の面には日本画の画題でもある“竹に雀”と“牡丹の花”が描かれています。洋絵の具の特質を活かして、雀は墨絵のように淡く、金襴手の文様は濃厚に描いているのも見どころです。
裏銘は「加賀九谷/亀田画」です。「加賀」を書き入れたのは、単に、この作品の産地を示したかったと思われます。他に「九谷製/亀田画」「大日本九谷製/山月堂」「九谷造/山月」などがあります