急須、湯冷まし、茶碗(三客 本来は五客であったと思われる)の煎茶器揃です。一毫は「方氏墨譜寫本」をモチーフに中国風の精微な画風で高い名声を得ましたが、この作品にもその画風が表れ、赤絵金彩による細描の名手と呼ばれるのに相応しい巧みさが感じられます。
サイズ 急須 横径 約11.4cm 縦径 約9.9cm 高さ 約7.1cm
湯冷まし 横径 約11.8cm 縦径 約8.4cm 高さ 約4.6cm
煎茶碗 径 約9cm 高さ 約5.7cm
横手の急須には、大小三つの割取の中に中国風の楼閣や宮殿が赤と金で描かれ、また注ぎ口、持ち手、蓋のそれぞれが金襴手で加飾されています。画風と合わせ、薄造りの器体に一毫らしい精微さが見えます。
薄造りの湯冷ましと煎茶碗にも、急須と同じく、中国風の建物が描かれています。湯冷ましの横側には天皇および皇室を表す紋章である十六葉八重表菊の飾りが付いているところを見ると、この煎茶器揃が京の皇族のために一毫が制作したことを物語っているようです。
裏銘は、急須にはなく、湯冷ましに「九谷/一毫」、煎茶椀に「九谷/相鮮亭造」とあります。