明治九谷の解説 春名繁春 赤絵金彩庭籠草花図皿

庭籠(にわこ 庭において家禽を入れて飼うための籠)が置かれ、その周りに草花が咲いています。そんなのどかな、どこに出も見られる情景が描かれていす。

九谷庄三が農村の情景を描写した作品を制作して以来、春名繁春などの名工もどこにでもあるような日常的な情景を丁寧に絵付しました。

サイズ 幅 約20.4cm 高さ 約2.9cm

全体的に赤が際立ち、見込みの図案が赤絵金彩で繊細に絵付され、やはり明治九谷らしく金彩や金襴手で飾っているので、日常的な情景も少し華やかになっています。庭籠の中や周りにも家禽は見当たりませんが、個人の家でも家禽を飼うのが普通であったころの庭先が草花と共に描かれています。

器自体が厚手で、特に裏面がごつごつしていますが、裏面を塗り潰すのではなく、そんなことを気にしないように、余白をのこして草花を描いています。

 

銘は左側のとおり「九谷/加長軒製」と書き込まれています。「加長軒」の銘が入っている作品は他にも「加長軒繁春製」の銘(右側)の入った名品があります(図録「鶏声コレクション」)。ただ、春名繁春が「栄生堂」と「加長軒」とをどのように使い分けたかは不明です。