この鉢は200年以上も前に旧大聖寺藩の九谷村で制作された古九谷に倣ったような様相が見られます。鉢の内と外には伝統的な九谷五彩の絵の具で図案や文様が描かれていて、全体からどこか色絵古九谷を思い起こさせるところがあります。赤絵や金襴手が主流であった金沢九谷の中では珍しい色合いですが、これは友山が制作活動を行ったことのある金沢の藤岡岩花堂(窯元)の作品に似た色合いです。
サイズ;口径 約17.7cm 高さ 約9.3cm
見込みの円の中には羽を広げて飛んでいる様子の鳳が描かれています。九谷五彩のうちの群青で描いてからその上を金彩しています。その周りには鳳につきものである瑞雲が赤で描かれ、古九谷の多くで塗られた緑の補色である赤を幾分多く使っているように見えます。
縁には二本の帯が巡らされ、その帯は黒呉須の縦線の上を紫で塗りつぶされ繋ぎ文様となり、古九谷の文様でもありました。同じく、その帯に挟まれて、花と葉と枝のついた菊を繋げた文様が五彩で描かれています。
画像にはありませんが、外側の面には吉祥紋が描かれ、また高台に櫛歯文が描かれているところも古九谷を思い起こさせます。
銘は二重角の中に「金城/友山」と書かれ、上から緑で塗り潰されています。この銘にも倣古九谷らしいところがあります。そして「金城」は金沢のことで、京から招聘されて春日山窯を開いた青木 木米が使った銘ですが、明治九谷で使っているのは珍しいです。他には「九谷/友山製」「友山堂」などがあります。