この小ぶりの急須の面は、色絵も金彩も金襴手も使われ華やかであり、「松」「竹」「梅」「折り鶴」「瑞雲」など多くの意匠が描かれています。特に、松竹梅図が中心に置かれていることから、お目出たさを表すための品と思われます。
三つの窓絵は「松」「竹」「梅(梅に鶯)」で、その周りに折り鶴、瑞雲が描かれています。「松竹梅」そのものは色絵金彩で描き、さらに折り鶴や瑞雲で取り囲んで全体が華やかなに包まれています。
急須を持つ時、蓋を飾る金襴手の文様がひときわ華やかさを感じさせ、また持ち手には金で「寿」の字が文様のように書かれています。
小さな蓋の摘みとその周りが金襴手で加飾され、ここにも瑞雲が飛びかい、細かなところまで飾られています。
銘は蓋の裏の隅に「九谷 静閑」と書き入れています。急須ですから、蓋をとったときに、何気なしに見せるような書き方であると思われます。