三つ揃いの器は、江戸のころから、ハレの場、宴席などでお料理を三つ組の鉢に盛り付け、それぞれの鉢からお料理を取り皿にとって食べるときに使われました祝いの器でした。ですから、おめでたい松竹梅の図や文様が少しずつ大きさを変えながら、三つの鉢に描かれ、さらに、祝意を表すために多彩な色を使って繊細な松竹梅文などが絵付され、ところどころ盛金や当時の技法(索引「人物・用語」)で加飾され、とても手の込んだ作品です。
サイズ | 小鉢 | 口径 約17.8cm | 高さ 約6.4cm |
中鉢 | 口径 約20.8cm | 高さ 約7.2cm | |
大鉢 | 口径 約23.8cm | 高さ 約8.4cm |
松竹梅図は、元々中国において松と竹は寒中にも色褪せず、梅も寒中に花を開くということから知識人に好まれたといわれますが、日本に伝わって江戸時代になると“目出度い”ことを表す図案と考えられるようになり、陶磁器、漆器、染織に描かれることが多くなりました。この三つ揃いの鉢でも多彩な色と金で加飾し目出度い器に仕上がっています。
さらに、その松竹梅の図案は文様化されて松竹梅文に変わり、衣装だけでなく、祝風呂敷、婚礼布団、家具などに描かれるようになり、吉祥文様の代表として広く用いられました。この鉢の側面に描かれた松竹梅文も祝いの文様として器に華やかさを加えています。
この作品には当時開発された様々な技法が活かされています。青粒・白粒(索引「人物・用語」)で松葉と白梅を、盛金で縁の文様をそれぞれ装飾し、石目打ち(索引「人物・用語」)と金のぼかし技法(索引「人物・用語」)を背景の装飾に用いています。
銘は「九谷/友山製」と書かれています。他に「友山堂」「金城/友山」があります。