大皿に広島県の厳島神社が鳥瞰図法によって描かれています。厳島神社の絵図については古くから「厳島図屏風下絵」や江戸時代以降の“厳島図”の粉本があり、また、明治以降も鳥瞰図で描かれた観光案内図がありました。高田 嶺山による厳島図は“名所絵”のようであり、裏表を合わせ見ると、厳島神社の観光絵図を見ているような気になります。
サイズ 径 約45.5cm 高さ 約7.7cm 高台径 約25cm
見込みには、社殿を中心に、海上の大鳥居、御笠浜と鹿の群れ、豊国神社、五重塔、神社の社務所、西松原と灯篭、鹿の群れなど厳島神社の各所が克明に描かれています。
高田 嶺山が交流のあった笠間 竹雪(画家としても有名)、石田 一郷らから影響を受けて、理想郷的に山水ではなく、風景を表現しているようです。
見込みの左側から上側にかけ、細かな点の技法(白粒)を使って豊国神社と五重塔、その周囲に桜が咲いている“春の宮島”が描かれ、裏には、咲き誇る菊の花と紅く染まった楓の葉が描かれていて、“秋の厳島・宮島”も案内しているように見えます。
銘は「於九谷/土〇製/高田画」と書き入れられています。他に「九谷/高田製」があります。